
全編英語詞で挑む新境地
藤井風が、約3年ぶりとなるスタジオアルバム『Prema』を9月5日にリリースする。収録曲は全9曲で、全編英語詞というこれまでにない試みに踏み込んだ。これまで日本語を軸にした作品で独自の世界観を築いてきた藤井が、あえて言語の壁を越えて挑む姿勢は、彼が次のフェーズに進もうとしている証といえる。
言葉だけでなく、サウンド面でも新たな試みが散りばめられている。これまでのピアノを中心にしたアプローチを超え、ビートやリズムに強くフォーカスした楽曲構成が目立ち、グローバルポップのシーンを意識した仕上がりになっている。
先行シングルで示された多彩な方向性
アルバムからの先行シングル第1弾「Hachikō」は、6月に配信された。忠犬ハチ公の物語をモチーフにしつつも、悲哀ではなく“再会の喜び”をテーマに描き直した楽曲は、リスナーに新鮮な印象を与えた。サウンド面ではビート主体の制作手法を取り入れ、これまでの藤井風にはなかった側面を示している。
続いて8月にリリースされた「Love Like This」は、70〜80年代のソウルやR&Bを彷彿とさせるアレンジが特徴。温かく普遍的な愛を歌う内容は、時代や国境を越えて多くの人々の共感を呼ぶ仕上がりとなった。先行2曲を聴くだけでも、『Prema』が一つのジャンルにとどまらない、多面的な音楽性を備えていることが分かる。
世界へ広がる藤井風の歩み
『Prema』というタイトルはサンスクリット語で「愛」を意味する言葉。藤井が音楽を通して伝えようとしているのは、普遍的でありながらも新しい形の愛と調和だ。全編英語詞に挑んだことは、国内だけでなく世界中のリスナーに向けて扉を開く意志の表れだろう。
また、リリースにあわせて各種イベントやライブ活動の展開も期待されている。既に世界各地で支持を得ている藤井が、『Prema』を携えてどのようなステージを見せるのか──その動向に注目が集まる。
約3年ぶりとなる新作は、藤井風の音楽がどこまで広がるのかを示す大きな節目になるはずだ。