
はじまりは、問いだった。
「IS THE LOVE ?」
静かなイントロに、疑うような声が重なる。
恋に落ちる瞬間のときめきではなく、すでに何かに囚われているようなムード。
XG『IS THE LOVE 』は、タイトルに反して“確信”ではなく“揺らぎ”から始まるラブソングだ。
感情が高ぶるわけでもない。
けれど、何度聴いても耳が離れない。
それはこの曲が、“答え”ではなく“問いかけ”として機能しているからだろう。
理性と欲望のあいだで
ミニマルなビートに絡む、硬質なスネア。
決して派手ではないアレンジが、逆にボーカルのニュアンスを際立たせる。
とくに2番以降、サビを経ても解放されない構成が緊張感を生み出している。
“この感情は愛なのか、それとも執着なのか。”
XGはその葛藤を、息遣いや言葉の余白で表現している。
「好き」や「愛してる」といった直球の言葉は出てこない。
それでも、確かに恋の渦中にいることだけは伝わってくる。
“わからなさ”が本物を映す
恋愛ソングにおいて、“確信”は時に嘘になる。
一方で、『IS THE LOVE 』が描くのは、言葉にならない不安や疑念。
それこそが「本物の感情」なのだと、この曲は教えてくれる。
リリックに込められたのは、依存と自立のせめぎ合い。
答えの出ない感情をまっすぐに見つめながら、XGは自分自身と向き合っていく。
愛という名前を、いま問い直す
『IS THE LOVE 』は、愛の美しさではなく、
愛に名前をつけられない“不確かさ”そのものを描いた一曲だ。
だからこそ、聴き終わったあともずっと心に残る。
それは、誰しもが一度は通る「これは愛なのか?」という夜を、
音楽という形でそっと差し出してくれるからだ。